
終活と空き家は密接に関連しています。終活とは、人生の終末に向けて行う準備のことで、財産整理、遺言書の作成、葬儀の手配など多岐に渡りますが、住まいの整理も重要な要素の一つです。そして、この住まいの整理が『空き家問題』と深く関わっているのです。
この項では、終活が空き家問題に関わる理由や、終活でできる空き家対策についてご説明いたします。
終活が『空き家問題』に関わる理由とは?
まず、なぜ終活が空き家問題に関わるのかを下記に挙げます。
■相続:相続が発生した際、実家などの不動産を相続するものの、誰も住む人がいないというケースは多く、これが空き家となる大きな要因の一つです。終活を通じて、相続について事前に家族で話し合っておくことで、相続後の不動産の活用方法について合意形成を図りやすくなり、空き家になることを防ぐことができます。
■高齢者の施設入居:高齢者が介護施設や病院に入居する場合、それまで住んでいた家が空き家になります。終活の中で、将来の住まい方を検討し、必要に応じて自宅の売却や賃貸などを検討しておくことで、空き家化を防ぐことができます。
■ 所有者の意識:終活を意識することで、所有者は自身の死後、不動産がどのように扱われるのかを考えるようになります。放置すれば空き家となり、近隣住民に迷惑をかけたり、防犯上のリスクを高めたりすることに気づき、生前に適切な対策を講じる動機となります。
終活でできる『空き家対策』とは?
終活で行える空き家対策は、将来発生する可能性のある空き家を未然に防ぐための重要な取り組みです。具体的には、以下の対策が考えられます。
1. 相続に関する準備
- 遺言書の作成: 誰にどの不動産を相続させるかを明確にすることで、相続後の遺産分割協議がスムーズに進み、相続人同士の争いを避けることができます。遺言書がない場合、法定相続分に従って分割されますが、不動産は分割が難しく、共有名義になることで管理が煩雑になり、空き家化を招く可能性があります。
- 相続人との話し合い: 相続人となる家族と、不動産の活用方法について事前に話し合っておくことが重要です。誰が住むのか、売却するのか、賃貸に出すのかなど、具体的な計画を立てておくことで、相続後の空き家化を防ぐことができます。
- 相続財産の整理: 不動産以外にも、預貯金、株式、貴金属など、相続財産全体を把握し、リスト化しておくことで、相続手続きがスムーズに進みます。
- 不動産の名義変更: 相続が発生した場合、速やかに不動産の名義変更を行うことで、管理責任の所在を明確にします。名義変更を放置すると、固定資産税の納付通知などが届かなくなり、管理不全につながる可能性があります。
- 生前贈与の検討: 相続税対策として、生前贈与を検討することも有効です。ただし、贈与税が発生する場合があるため、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
2. 住まいの整理
- 不用品の処分: 将来的に住まなくなる可能性のある家にある不用品を整理することで、相続人の負担を軽減し、空き家になった後の管理もしやすくします。不用品回収業者などを利用することも検討しましょう。
- 家の売却・賃貸: 将来的に住む予定がない場合は、生前に売却または賃貸に出すことを検討することで、空き家化を防ぎ、有効活用につなげます。不動産業者に相談し、査定や賃料の相場などを確認しましょう。
- リフォーム・リノベーション: 相続人が住む可能性がある場合は、リフォームやリノベーションを行い、住みやすい環境を整えておくことで、空き家化を防ぎます。バリアフリー化や耐震補強なども検討しましょう。
- 空き家バンクへの登録: 自治体によっては、空き家バンクという制度があり、空き家を借りたい人や買いたい人に情報を提供しています。登録することで、空き家の有効活用につながる可能性があります。
3. 情報共有
- エンディングノートの活用: エンディングノートに、不動産に関する情報(権利書、登記情報、住宅ローンの情報など)をまとめておくことで、相続人が手続きを進めやすくなります。また、不動産の活用方法に関する希望や意向などを記載しておくことで、相続人の意思決定を支援することができます。
- 家族への情報共有: エンディングノートの内容だけでなく、口頭でも家族に情報を共有し、意思疎通を図ることが重要です。
4. 専門家への相談
- 弁護士: 相続に関する法的な問題について相談できます。遺言書の作成、遺産分割協議、相続放棄などについてアドバイスを受けることができます。
- 司法書士: 不動産の名義変更手続き、相続登記などについて相談できます。
- 税理士: 相続税、贈与税などの税金に関する問題について相談できます。
- 不動産鑑定士: 不動産の適正な価格を評価してもらえます。売却や賃貸を検討する際に役立ちます。
- 建築士: 建物の状態を調査し、修繕やリフォームの必要性についてアドバイスをもらえます。
5. その他の対策
- 信託の活用: 財産管理や処分を信託銀行などに委ねる方法があります。認知症などで判断能力が低下した場合でも、財産を適切に管理することができます。
- 家族信託の活用: 家族に財産管理を委ねる方法です。信託銀行に依頼するよりも費用を抑えることができます。
まとめ
終活は、自身の人生の締めくくりだけでなく、残された家族への思いやりでもあります。空き家対策は、家族への負担を軽減し、地域社会への貢献にもつながります。早めに準備を始め、必要に応じて専門家に相談しながら、計画的に進めていくことが大切です。
特に、以下の点を意識することが重要です。
- 早めの準備: 終活は早ければ早いほど、選択肢が多く、余裕を持って準備を進めることができます。
- 家族とのコミュニケーション: 家族としっかりと話し合い、意向を共有することが重要です。
これらの点を踏まえ、将来起こりうる空き家問題を未然に防ぐために、今からできることを一つずつ実行していくことをお勧めします。