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故人の冥福を願い、その魂を鎮めるために、遺骨は大切に扱うのが当然の考えになります。
しかし現代社会では、核家族化や少子化が進み、遺骨の扱いに悩む方も少なくありません。
近年、遺骨を不法に捨ててしまうという痛ましい事件が後を絶ちません。このような行為は単なるモラルの問題にとどまらず、法律に触れる犯罪行為です。今回は、遺骨を捨てることの重大性と、正しい遺骨の扱い方について解説します。
遺骨を捨てることはなぜ犯罪なのか
遺骨を捨てる行為は、刑法第190条の「死体損壊等」に該当し、3年以下の懲役刑に処される可能性があります。この法律では、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役」と定められています。
遺骨を生活ゴミとして捨てるなど、絶対にあってはならない行為です。
なぜ、遺骨の扱いはこれほど厳しく法で定められているのでしょうか。それは、遺骨が単なる物体ではなく、故人の尊厳を象徴するものであるという認識が根底にあるからです。
遺骨を捨てるこの悪影響について
遺骨を捨てる行為は、法律違反というだけでなく以下のような悪影響をもたらします。
■故人のへ冒涜:遺骨は、故人の一部であり敬意を持って扱われるべきです。遺骨を捨てる行為は、故人への冒涜であり遺族の心の傷を深くします。
■社会全体の道徳観への悪影響:遺骨を軽視する行為は、社会全体の道徳観を低下させ、死生観に対する考え方をゆがめる可能性があります。
■宗教的な観点からの問題:多くの宗教において、遺骨は尊いものとされ、適切な供養が求められます。遺骨を捨てる行為は、宗教的な観点からも非難されるべき行為です。
遺骨を処分するタイミングは?
そもそもなぜ遺骨を処分しようと考えるのでしょうか。
遺骨を処分するタイミングや理由は、人それぞれ、そして家族によって異なります。一般的に以下のようなケースで遺骨の処分が検討されることがあります。
■納骨する場所がない場合
・先祖代々のお墓が満杯になっている
・菩提寺(ぼだいじ)がない、または納骨を断られた
・お墓の管理が困難な遠方にあり、継承者がいない
■墓じまいをする場合
・お墓の維持費が負担になる
・お墓を継ぐ人がいない
・転居などで、今までのお墓から遠くなる
■納骨堂のスペースがなくなった場合
・納骨堂の契約期間が満了した
・納骨堂が閉鎖になる
■故人の意義がある場合
・生前に散骨など、特定の処分方法を希望されていた
遺骨の正しい処分方法は?
遺骨の処分方法は、宗教観や家族の事情、故人の遺志など、様々な要素によって異なります。一般的には、以下の方法が考えられます。
遺骨の処分方法
- 寺院に委託する: 寺院に依頼し、永代供養や個別墓への納骨をしてもらう方法です。宗教的な儀式を行いながら、故人の冥福を祈ってもらうことができます。
- 霊園に納骨する: 霊園に墓を建立し、納骨する方法です。自分たちで墓参りをしたい方におすすめです。
- 散骨する: 海や山など、自然の中に散骨する方法です。自然に還りたいという故人の願いを叶えることができます。
- 樹木葬: 樹木の根元に納骨する方法です。自然と一体となり、永く緑の中で眠りたいという方におすすめです。
遺骨の処分をする際の注意点
- 法律の遵守: 遺骨の処分に関する法律や条例を事前に確認し、法令に違反しないようにしましょう。
- 専門家への相談: 葬儀社や寺院など、専門家へ相談することで、適切な処分方法を選ぶことができます。
- 故人の意思を尊重: 生前に故人が遺骨について何か言及していた場合は、その意向を尊重することが大切です。
- 家族との話し合い: 遺骨の処分は、家族にとって大きな決断です。家族全員で話し合い、合意のもとに進めることが理想です。
遺骨の自宅での保管
遺骨を自宅で保管することも可能です。ただし、以下のような点に注意が必要です。
- 専用のスペースを確保する: 直射日光が当たらない、湿気の少ない清潔な場所に保管しましょう。
- 定期的に掃除をする: ほこりなどが積もらないように、定期的に掃除を行いましょう。
- 防虫対策をする: 虫害を防ぐため、防虫剤などを活用しましょう。
まとめ
遺骨を捨てることは、法律で禁止されているだけでなく、道徳的にも非難されるべき行為です。故人の尊厳を重んじ、適切な方法で遺骨を扱うことが、遺族の心の安寧につながります。
もし、遺骨の処分でお困りの際は、一人で悩まずに葬儀社や寺院など専門家にご相談ください。
この情報が、遺骨の正しい扱い方について理解を深める一助となれば幸いです。