厚生労働省が発表した2022年度の介護保険事業状況報告によると、要支援・要介護認定者が過去最多の694万人に達したことが明らかになりました。高齢化の進展に伴い、介護が必要な高齢者が増加し続けており、介護保険制度への負担も増大しています。
今回は、介護認定者増加の背景についてお話ししたいと思います。
高齢化社会の進展が主な要因
近年、日本において介護認定を受ける方が増加している主な背景として、高齢化社会の進展が挙げられます。
・平均寿命の延び:医療技術の発達により、人々の平均寿命が延びています。高齢者が増えることで、介護が必要となる方も自然と増えていきます
・少子化:出生率の低下により、働き手が減り、高齢者を支える人が相対的に減少しています
・高齢者の健康寿命の延び:高齢者でも比較的健康な状態を長く維持できるようになった一方で、寝たきりや認知症など、介護が必要となる状態になる人も増えています
その他の要因
・核家族化の進行:核家族化が進み、高齢者が家族に頼りづらくなり、施設入所や訪問介護などのサービスを利用するケースが増えています
・疾病構造の変化:生活習慣病や認知症など、慢性的な疾患を抱える高齢者が増加しています
・介護保険制度の周知徹底:介護保険制度が広く知られるようになり、必要なサービスを受ける人が増えています
介護認定者増加がもたらす影響
・介護費の増大:認定者数の増加に伴い、介護サービスにかかる費用も増大し、社会保障費の大きな負担となっています
・介護職員の不足:介護が必要な人が増えている一方で、介護職員の数は十分とは言えず、人材不足が深刻な問題となっています
・介護サービスの質の低下:介護職員の不足や、多忙化により、介護サービスの質が低下する懸念があります
・高齢者の孤立化:家族や地域とのつながりが希薄になり、高齢者が孤立してしまうケースも増えています
今後の課題
・介護予防の推進:高齢者が要介護状態になることを予防するための取り組みを強化する必要があります
・在宅介護の支援:高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、在宅介護の支援体制を充実させる必要があります
・介護職員の待遇改善:介護職員の待遇を改善し、人材の確保と定着を図る必要があります
・介護保険制度の改革:高齢化の進展に対応するため、介護保険制度の抜本的な改革が必要です
まとめ
介護認定者数の増加は、日本社会が抱える深刻な問題の一つです。この問題を解決するためには、国、自治体、医療機関、介護事業者、そして国民一人ひとりが協力し、多角的な取り組みを進めていく必要があります。