相続は、人生の大きな出来事の一つであり、家族かの絆や財産の問題が複雑に絡み合うことがあります。
特に、相続人同士の間に深い溝が生じている場合、相続排除という制度が検討されることがあります。
相続排除とは、被相続人(財産を残す人)が、ある特定の相続人に財産を相続させたくない場合に、その相続人の相続権を奪う制度です。今回は相続排除について、その制度の概要、手続き、注意点などを詳しく解説していきます。
相続排除の制度概要
■なぜ相続排除が必要なのか?
相続排除が必要となるケースとしては、以下のものが挙げられます。
・虐待や重大な侮辱:被相続人に対して、肉体的または精神的な虐待、または重大な侮辱を加えた相続人に対して行われます
・財産の横領や不正な行為:相続人が被相続人の財産を横領したり、不正な行為を行った場合に相続権を奪うことがあります
・その他の著しい非行:相続人が、被相続人に対して、相続人として許されないような行為を行った場合に相続権を奪うことがあります
■相続排除の条件
相続排除が認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
・被相続人の意思:相続排除は、被相続人の意思に基づいて行われます
・具体的な事由:相続排除の理由となる具体的な事由が必要となります
・家庭裁判所の審判:相続排除は、家庭裁判所の審判によって認められます
■相続排除の手続き
相続排除の手続きは、一般的に以下の流れで行われます。
1.家庭裁判所への申立て:被相続人自身が、家庭裁判所に相続排除の申立てを行います
2.審理:裁判所は、申立ての内容が事実であるかなどを審理します
3.審判:審理の結果、相続排除が認められれば、審判が言い渡されます
■相続排除の注意点
・証拠の重要性:相続排除の申立てでは、具体的な証拠が必要となります
・手続きの複雑さ:法的な手続きが複雑であり、専門家のサポートが必要となる場合があります
・期間制限:申立てには期間制限がある場合があるため、早めに手続きを開始することが重要です
・効果:相続排除が認められると、その相続人は相続権を失い、遺産を相続出来なくなります
相続排除ができるタイミングは?
相続排除が出来るタイミングは、原則として被相続人が生存している間です。被相続人が死亡した後では相続が開始してしまい、一般的には相続排除の手続きを行うことはできません。
また遺言書によって、被相続人が死亡後に相続排除を行うことも可能です。この場合、遺言書に相続排除したい相続人を明確に記載し、遺言執行者が家庭裁判所に申立てを行います。
相続排除の手続きの流れ
被相続人が存命中の場合、下記の流れで手続きを行います。
1.申立:被相続人自身が、家庭裁判所に相続排除の申立てを行います
2.審理:裁判所は、申立ての内容が事実であるかなどを審理します
3.審判:審理の結果、相続排除が認められれば、審判が言い渡されます
■なぜ被相続人の生存中に手続きが必要なのか?
・被相続人の意思確認:相続排除は、被相続人の意思に基づいて行われるため、被相続人本人に意思確認を行う必要があります
・証拠の確保:相続排除の理由となる具体的な事由(虐待、財産の横領など)を証明するためには、被相続人が生存している間に証拠を収集しておく必要があります
・相続開始前の対策:相続が開始してしまうと、遺産分割の手続きが開始され、相続排除の手続きが複雑になる可能性があります
相続排除の注意点
相続排除の注意点は次のようなことが挙げられます。
・専門家への相談:相続排除は、法律の専門知識が必要な手続きです。弁護士などの専門家にご相談することをおすすめします
・証拠の重要性:相続排除の申立てでは、具体的な証拠が必要となります
・期間制限:申立てには期間制限がある場合があるため、早めに手続きを開始することが重要です
まとめ
相続排除は、家族間の複雑な問題を抱えた場合に、最後の手段として検討されることがあります。しかし、その手続きは専門的な知識が必要であり、安易に行うべきではありません。相続に関する悩みを抱えている方は、一人で抱え込まずに、弁護士などの専門家にご相談ください。専門家のアドバイスを受けることで、最適な解決策を見つけることができるでしょう。