相続手続きは、被相続人の財産を整理し、次の世代へ引き継ぐ重要な作業ですが、同時に煩雑で負担が大きいという課題も抱えています。そんな相続手続きを少しでもラクにするために、2017年5月に導入されたのが「法定相続情報証明書制度」です。
この回では、法定相続情報証明書制度の概要やメリット、具体的な手続きなどを解説します。
制度概要
法定相続情報証明書制度は、2017年に法務局(登記所)が開始した制度です。
相続人の方が、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本等と相続関係の一覧図(法定相続情報一覧図)を法務局に提出することで、登記官が内容を確認した上で、一覧図の写しに認証文を付した「法定相続情報証明書」を無料で交付してもらえる制度です。
メリット
◆手続きが簡素化される
従来、相続手続きでは各窓口で必要に応じて戸籍謄本等を提出する必要がありましたが、法定相続情報証明書があれば、この提出が省略できます。一つの証明書で済むため、手間と時間を大幅に削減できます。
◆複数の手続きに利用できる
法定相続情報証明書は、銀行での預貯金の名義変更、不動産の登記名義変更、自動車の名義変更等、様々な相続手続きで利用できます。
◆偽造防止対策が施されている
法定相続情報証明書には、偽造防止のためのQRコードや暗号文が記載されています。
制度の利用方法
法定相続情報証明書制度を利用するには、以下の手順が必要です。
1.必要書類を収集する
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と住民票(除票)の写し
・相続人の戸籍謄本、住民票の写し
・法定相続情報一覧図
・申出書
2.法務局へ提出する
上記書類を管轄の法務局へ持参するか、郵送で提出します
3.法定相続情報証明書を受け取る
提出後、数日で法定相続情報証明書が交付されます
利用できる場面
法定相続情報証明書は、以下のような場面で利用できます。
・銀行等での預貯金の名義変更
・不動産の登記名義変更
・自動車の名義変更
・生命保険金の請求
・株式の相続手続き
注意点
・法定相続情報証明書の交付には、数日かかります
・法定相続情報証明書は、発行後5年間有効です
・相続歓迎が複雑な場合は、法務局で相談することをおすすめします
まとめ
法定相続情報証明書制度は、相続手続きをスムーズに行うに役立つ制度です。
相続が発生した際には、ぜひご活用を検討してみてください。