相続で遺産分割協議を行う場合、協議の内容を記載した遺産分割協議書に相続人全員の実印を捺印し印鑑登録証明を添付しますが、相続人の中に刑務所に収監中の方がいる場合はどう対応したら良いのか?
今回はそのようなケースについて解決策をご紹介します。
刑務所に収監中の方は実印での捺印ができない!
遺産分割協議書には決まった形式がありませんが、相続登記をするためには、作成するすべての遺産分割協議書に相続人全員の手書きの氏名、実印の捺印が必要です。そして、印鑑証明書の添付も必要となります。
刑務所に収監中の方は遺産分割協議書への署名は可能ですが、実印が手元にないので捺印が出来ませんでし、外出も不可能なため印鑑証明書を準備することも出来ません。
そこで、実印の押印の代わりに「拇印での押印」、印鑑証明書の添付に代えて「刑務所長の奥書証明」でこれに代えることが出来ます。
奥書証明って何?
奥書証明(おくがきしょうめい)とは、証明を求める者から証明事項を記載した願書などを提出してもらい、その副本の文末に証明する方法を言います。
今回のケースで言う「刑務所長の奥書証明」とは、「服役中の相続人本人が署名し、拇印も本人のもので間違いありません」と刑務所長に証明してもらうものになります。
どんなケースでも有効なのか?
先述した、刑務所長の奥書証明が有効なケースは不動産の相続登記においてです。
相続における全てのケースに当てはまる先例がないため、類似の先例に基づいて管轄法務局にどのようにすれば良いか登記申請前に確認が必要です。
また、金融機関で手続きを行う場合には、このような書類で対応してもらえるかは各金融機関で異なるため、事前に金融機関へ確認してから遺産分割手続きを進めた方が良いでしょう。