成年後見人とは何ですか?
成年後見人とは、認知症などにより判断能力が不十分になった人の財産や生活を保護・支援する役割を担う人です。また、成年後見人は、家庭裁判所によって選任されます。
開始原因としては、認知症が最も多く全体の約63.2%を占め、次いで知的障害が約9.4%、統合失調症が約8.7%の順となっています。(※1)
(※1)出典:裁判所「成年後見関係事件の概況(令和4年1月から12月まで)」
成年後見人は、どんな人が選任されるの?
成年後見人には、以下のような人が選任されることが多いです。
・専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士など)
・本人の配偶者
・本人の子ども
・本人の兄弟姉妹
・本人の親族
成年後見人等(成年後見人、保佐人及び補助人)と本人の官憲をみると、配偶者、親、子、兄弟姉妹及びその他親族が成年後見人等に選任されたものが2022年は全体の約19.1%(前年は約19.8%)となっています。親族以外が成年後見人等に選任されたものは、全体の約80.9%(前年は約80.2%)であり、親族が成年後見人等に選任されたものを上回っています。(※2)
親族の内訳としては、子(53.4%)、兄弟姉妹(14.9%)、その他親族(17.4%)、拝具者(7.5%)、親(6.8%)となるようです。
また親族以外の内訳としては、司法書士(36.8%)、弁護士(27.1%)、社会福祉士(18.3%)、社会福祉協議会(4.5%)、行政書士(4.5%)、市民後見人(0.8%)、社会保険労務士(0.3%)、精神保健福祉士(0.2%)、税理士(0.2%)、その他法人(7.1%)となるようです。(※2)
(※2)出典:裁判所「成年後見関係事件の概況(令和4年1月から12月まで)」
成年後見人は何をするの?
成年後見人は、本人の財産や生活に関するあらゆる事柄について、本人の代理人として行動することになります。
具体的には、以下のようなものがあります。
財産管理
・現金、預貯金、不動産等の管理
・収入、支出の管理
・有価証券等の金融商品の管理
・税務処理(確定申告、納税など)
身上監護
・医療に関する契約
・施設への入所契約
・介護に関する契約
・生活、療養看護に関する契約
成年後見人の仕事には、大きく分けて財産管理と身上監護の2つがありますが、ここでいう身上監護には、現実の介護行為は含まれません。本人の介護が必要な場合は、介護をしてくれる人や適切な介護施設を探して依頼するところまでは義務を負いますが、実際に介護をするのは別の人や介護施設になります。
また、食料品や衣料品等の生活用品を購入するような日常生活に関する行為については、本人が自由に行うことができます。
成年後見には、被後見人(本人)が所有する家屋の取り壊しや財産の売却といった処分行為が可能ですが、被後見人(本人)の居住用不動産の処分には、事前に家庭裁判所の許可が必要になります。ただし、処分行為も、必ず本人の利益にならなければなりません。
そして、成年後見人は、本人の財産をしっかり管理して、毎年家庭裁判所に報告をする義務があります。電気・ガス・水道などの領収書も保管しておき年間の収支を間違いなく報告します。
成年後見人は、本人の財産や生活を守るために、本人の意思を尊重しつつ、適切に判断し、行動する必要があります。
後見人になると、後見人は被後見人(本人)のための負担が増加します。この点をよく理解したうえで、後見制度を利用する必要があります。
「成年後見人」について、こちらの記事も参考にして下さいね。